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レッスン曲ウンチク、今宵は  "All Blues"  です。

私がピヨピヨ🐤ジャズガール🔰だった頃 タイトル「All Blues」 を見て思わず ブルーノートスケールをAny Key(12の全部の調)で吹くのか?と思ってしまいました。(似たような練習に明け暮れておりましたもので)しかし譜面を見るとそんな事はなく、タイトルの意味は何なんでしょ?。

「みんなでブルース?」(NHK 「みんなのうた」 的な)
いや、いや、曲調が全然違う。ニューオリンズっぽい物だったらあり得るけど、此れはジャズワルツでマイルス自身の演奏はブルーノートも使わずにすっきりとモダン、哲学者のような意味ありげな
ロングトーン、3拍子で書いている段階でブルースから遠い、もっと違う事を言っているに違いない。All って何?、Blues って何?

ある時、歌詞を見てはっとしました。
歌詞は随分後にOscar Brown によって付けられているのですが、
マイルスの吹き方のイメージをとてもよく表していると思います。

The sea, the sky, the you and I(海、空、貴方がいる、私がいる)
The sea, the sky, for you and I
(海、空は貴方の為に、私の為に)
I'll know we're all blues
(私達は全てブルースだって事を知る事になるわ)
All Shades, all hues, all blues
(物事の光と影、それは全部ブルース)                

 

ここでいう「海」「空」は「天と地」地球と宇宙という万物の象徴、「悠々たるかな天壌」「天壌無窮」「悠久の時」といった言葉があるように宇宙は時の象徴でもある。                       

Huesは色相なので「物事の表部分」に対比する言葉としてShades日陰が並んでいる。 

般若心経の「色即是空」:「(色)=形あるもの、是れ即わち(空)=無なり」を思わせる。                         

Some blues are sad(いくつかの歌は悲しくって)
But some are glad,
(いくつかの歌は嬉しい):ここでいう「歌」は人生の事
Dark-sad or bright-glad (
暗い悲しみ 輝かしい喜び、どちかよ)              

They're all blues(どっちだって全部ブルース)

(Chet Baker版だと ↑この最後の1行を”We are all blues” と歌っていて、歌は2コーラスで終わり。私の好きなバージョンです) 


The color of colors
(色々な物事の中でも)
The blues are more than a color
(悲しみというものはより色濃く)
They're a moan of pain
(痛みによるうめき)
A Taste of strife
(争いの味=勝利の美酒と敗北の辛酸)
And a sad refrain
(争いは続く、そして悲しみがくりかえされる)

この詩は有無同然といった大無量寿経や、般若心経のように物事をColorという言葉で表し表裏一体性について語り「争いを止められない」という人間の実相に話が及ぶ辺り、仏教哲学のセンスがある方が書いたんだな、と思いました。仏教用語の説明は専門家に任せて 

All Blues =「人生は苦なり(シッダルダ)」「全部ブルースだぜ(マイルス)」

テーマ冒頭のロングトーンには「The Sea」「The sky」という言葉が当ててあります。是非 悠々たるイメージを重ねてマイルスのような意味深なロングトーンを奏でて下さい。







Eenestine Anderson 版は歌詞が5番+α フルで歌っていますが
演奏スタイルとしては2コーラス(2番まで)を1セットでアドリブを回すことが多く
Voも歌詞は2番までしか使わないケースが多いです。

4番以降の歌詞は直訳でもま、解ると思います。
今回の焦点は「All Blues の意味」なので翻訳割愛させて頂きます。